デジュール標準とデファクト標準

標準規格は売手と買手の認識の共通化が原則

製品などは、市場において品質はそこそこでも安価なものを求める需要や、値段は高いが品質の優れているものを求める需要があります。製品の取引が、売り手と買い手の個別の契約で成り立つ場合は、製品の規格は売り手と買い手が契約で決めることが原則ですが、消費者商品のように、買い手が多く存在して個別の契約では取り引きできない場合は、大多数の顧客が求める品質を標準と定めて表示すると、安心して市場取引が行われるようになります。品質を規定したものは規格と呼ばれますが、標準の品質を規定したものを標準規格と呼びます。通常、標準規格を単に規格と呼ばれることが多いことは注意しておく必要があります。

デジュール標準

標準には、デファクト標準とデジュール標準があります。規格は、売り手と買い手の間で相談して決めることが原則ですが、消費者商品などの不特定多数の顧客を相手とする場合は、顧客の代表と売り手の代表と学識経験者などが集まって、国際規格、国家規格、あるいは業界規格を作ります。このようにして作った、公的な性格を持った標準とその規格をデジュール標準規格と呼びます。

デファクト標準

これに対して、売り手の作る製品が市場で広く受け入れられて、事実上の標準となっている場合の品質をデファクト標準と言います。デファクト標準は、一社が独占状態の場合、あるいは、市場で競争が行われて最終的に勝利した製品が結果として標準の地位を占めた場合の規格のことです。例えば、パソコンのWindowsやビデオデッキのVHSなどがデファクト標準の典型と言われています。経済原則で標準が決まることを原則としますが、一旦市場に製品が投入されてから競争が起きて標準が決まるのでは、企業にとって既に設備投資を終えていますので、大きなリスクになります。消費者にとっても、ビデオのベータ方式を購入した人が、少し経つと市場にはVHS方式しか並んでおらず、それまでの取りためたカセットが全く使えなくなってしまうというようなことになるので困ります。そこで、一般には、複数の企業がグループを作り、それぞれのグループが競争して優劣を決めることでリスクを少なくしようとするケースが現実です。ただし、マイクロソフト社のように、ある一社が独占状態を構築した場合は、その企業の標準が市場のデファクト標準となります。

規格公開の利点と欠点

規格を公開することは、技術のある範囲を公開することを意味する場合があります。ですから、デジュール規格を選ぶと言うことは、技術の公開によって競合企業を生み出し市場競争に晒されかねないリスクに対して、規格の標準化によって関連産業の広がりが起きて市場が活発になり、購入者の利便性が向上して市場が広がるメリットの方が大きいという判断をしたことになります。逆に、市場を独占的に支配したマイクロソフトは、デファクト標準を選択し、技術を非公開にする道を選んでいるわけです。

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