マニュアル作成の留意点

マニュアルを要求する意味は

ISOの品質マネジメントシステム標準では、品質マニュアルの作成を求めています。品質マニュアルによって、規格の要求に対する組織の答えを示させよう、品質マネジメントシステムの全貌をお客様に理解していただくようにさせよう、そして、内部に対して、関連手順書や指示書を作成する基本的な枠組みを示させようと考えているからです。これは、環境やその他のマネジメントシステムでも同様に考えておくべきことです。そして、マニュアル文書でマネジメントシステムに関するISO標準に従うことを表明する限り、表明した相手にそれを示せないといけません。適合性の評価を依頼する限り、審査機関に対しても同様です。そして、審査機関は利害関係者に評価した結果を示せるように登録するのですから、マニュアルを見て、標準を守っていると利害関係者が納得できることを一つの基準として適切性を判断しなければなりません。ですから、品質マニュアルは自社のためではなく、お客の信頼を得る手段として記述することが期待されています。マニュアルは社外秘である、と言う認識は不適切です。お客に示せるように記述しようとすると社内の機密事項は書けないから、マニュアルに意味がなくなると考える方がいるかも知れませんが、ISO標準はお客様や利害関係者のよき理解を得るためにどういう活動をしなければならないかについて書かなければならないことを示しています。それをきちんとマニュアルに記述することは組織内に対してもその枠組みで標準化を進めることを意味しています。

お客様に向いたマニュアルと社内のためのマニュアル

ただ、社内的な収益向上や継続的な発展のための活動についてまで、適合性評価用のマニュアルに記述する必要はありません。そのようなことは別のマニュアルなどにまとめればいいのです。それでは二重帳簿になると考える方がいるかも知れませんが、利害関係者の信頼を得ることと自社の成長を目指すことは矛盾しません。もし、利害関係者を犠牲にした成長を目指そうというのであれば、それこそISOのマネジメントシステム標準の考え方に反することですし、短期的にうまく行くことがあっても中長期的にはきっと破綻を招くことになります。

マニュアルは対象とする事業範囲を明確に

なお、マニュアルには、対象とする事業範囲を明確にした上で、マネジメントシステムの要素について明確に説明し、対象の構成、各プロセス間の関わり合いを記述することが必要です。この時、マネジメントシステムの要素についてはマニュアルの中に直接記述しなくても関係する情報を参照することでも良いとされています。ですが、マニュアルは最上位のシステム文書であることを考えれば、手順書等を単純に引用するのではなく、原則を明らかにした上で具体的には手順書で展開することが、マニュアルを見て頂いただけで安心感を与えられるようにすることを目指して下さい。

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