日本化学キューエイ株式会社 > 基礎知識を広げよう > マネジメントと組織 > 組織に影響を与える要素にはどんなものがあるか

組織に影響を与える要素にはどんなものがあるか

組織の研究には、組織構成員の個々の行動を直接的に取り扱う組織行動論(ミクロ組織論)のアプローチと、社会集団としての構造やデザインを取り扱う組織理論(マクロ組織論)のアプローチとの二つがあるそうですが、ISOのマネジメントシステム規格で必要となる組織の構造はマクロ組織論で考える問題です。

組織の複雑さの影響

組織構造は色々な要素によって影響されます。まず、組織の複雑性です。製品の技術的複雑性、製品レパートリー、事業活動の複雑性によって製品の技術的複雑性が大きいと、一般的に組織の水平的な複雑性が増して行きます。製品のレパートリーが多いと一般的に組織の垂直的複雑性が増して行きます。また、事業活動をする地理的拠点の数と距離によって、空間的複雑性が増して行きます。一方、特定の顧客からの委託生産の場合は、組織の複雑性が小さくなります。

組織の成熟度と権限委譲の影響

また、事業の成熟度が組織の公式性に影響します。事業が成熟しているほど、組織構成員の行動内容が規定やルールによって決められ、公式化します。この結果、文書化が進行して行きます。ただ、仕事の内容が高度に熟練を要する場合は、公式化は低くなるでしょう。
一方、組織の成熟度は権限の委譲程度に影響します。管理職はオールマイティではありませんから、自らの管理能力の限界を越えたところは権限委譲して進めていくことが必要ですし、下位階層の参画意識をかき立て、モーティベーションを高めることも必要です。また、将来の管理者の育成のためにも訓練機会の提供の手段として権限委譲をすることが必要になります。また、組織を取り巻く環境の変化への意思決定を速やかにするためには権限委譲を進めたほうがよい場合もあります。この様に権限の委譲は変化の早い現代では推奨されることではありますが、権限が上位に集中している集権的組織は、特定意思の貫徹と一枚岩の実行力に優れており、結果に対する責任の所在も明確です。品質や環境などの対外的なアカウンタビリティ(説明責任)を明確にするには、適度な集権組織にすることが必要だという考え方がISO9001やISO14001には込められています。経営トップのリーダーシップが弱いと言うことが日本の大企業の大方の共通的弱点だと言われてきました。ISOのマネジメントシステム規格に取り組む効果はこのあたりにもありそうです。

生産システムの影響

一方、生産システムが、個別受注生産か、大量生産か、装置生産かによっても組織は異なる構造を持ちます。個別受注生産は一般に現場の熟練に依存した技術であることが多く、部門、階層数は少なく、その場その場の対応が重要なため、組織構造の複雑性は低いことが一般的です。そして、決定権は現場監督、作業者のレベルに委譲しますが、一方調整などのためトップ、ミドルマネジメントに雑多な仕事が集中する傾向があります。
大量生産の場合は、一般的には多数の非熟練作業者を使って標準化・定型化されたルーティン業務を行うことが必要になり、このために高度に文章化され、公式化された業務環境が必要になります。このため、直接的な監督の意義が薄れ、その代わりスタッフワークの重要性が高まります。そして、管理者が増えると共に、部門数、階層数も増え、決定権限も上位に集中する傾向があります。
規模の大きいプラントに依存する石油化学に代表される装置産業では、生産装置の大半が自動化されているために、大量生産の場合と比較すると非熟練作業者への依存が非常に少なく、代わりに、保全、サービス関係業務などに熟練度の高い間接作業者が求められます。管理業務の必要性は低くなりますが、ルールや手続きは精緻に定められます。ただし、その多くは機械、装置の中に組み込まれるので、組織構造の公式性は低くなります。機械・装置をコントロールするための知識が重要なので、その関係では決定権限は分散されます。
なお、個別受注生産で生産される製品は、特定の顧客の要求に従って生産されるので、顧客の要求を正確に理解し評価することが求められますが、大量生産や装置生産で生産する製品は一般的には不特定の顧客を対象にするので、市場調査によって生産する製品の特性を自ら設定することが必要になります。

Copyright(c) 2017 JAPAN CHEMICAL QUALITY ASSURANCE LTD. All rights reserved.