責任と権限

責任と権限について考えてみましょう。責任と権限の区別は何ですかと問うと、同じ様なものです、責任と権限は裏腹な関係があります、等という答えが返ってくることがよくありますが、そうでしょうか。

責任と言うこと

広辞苑によれば責任とは、「人が引き受けてなすべき任務」と説明されています。この説明には重要な点が二つあります。一つは、「引き受ける」こと、もう一つは「なすべき任務」です。後者の「なすべき任務」は責任をもつ人や部署が自らなすべき役割で、通常は何に責任を持っているかという風に理解されていますが、前者は「誰から引き受けたか」ということです。言い換えると、誰から何の任務を引き受けているかを考えなければならず、引き受けた以上、引き受けた事項の結果を報告する義務を負っているということでもあります。日本では責任を考えるとき、「任務」を考えることが主になっていて、誰に対して責任を負っているか、誰に結果報告をしなければならないか、が希薄になりがちな傾向がありますので注意が必要です。

権限と言うこと

一方、「権限」については、行政の持っている「権限」は別として、広辞苑では「私法上、ある人が他人のために法令・契約に基づいてなしうる、ある事柄について権利を主張し行使できる能力の範囲」と説明されています。ここで重要なことは、私法、すなわち何らかの規定、ルールの存在がなければ権限が発生しないと言うことです。社長であれば、通常株主総会で決められた企業の定款を背景にして、企業内の指揮を取る権限が発生します。社長だからと言って勝手な指揮を取ることは、独裁社会でなければ許されません。「権利を主張し行使できる」と言うとき、「誰に対して主張し行使するのか」を考えなければなりません。そして、主張し行使した結果がうまく行ったか、問題がなかったかを確認するために、主張し行使した相手から報告をもらう必要があります。「事柄」と言うことは、権限行使の内容と言うことですが、「法令や契約(契約書の形を取らなくても、要求事項を合意したら一種の契約が成立します)」で実行し、実現することが求められている事柄を命令、要求することです。他の人から任務を引き受けて責任が発生したとき、自ら実行するだけでなく、規定などで命令、要求する権利を持っている誰かに任務の一部を委任して実行し、責任を完遂することを言っています。

責任と権限の考え方

ですから、責任と権限を考えるとき、内容と共に、それを誰に報告する責任があるか、誰から報告を受ける権限があるかを明確にする必要があります。そして、その結果として、組織図が明確になるわけです。

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