ISO14001:2004とのつきあい方
2004年の改訂によって
(1)システム要求が変わったために対応が必要なもの(特に4.3.2、4.5.2等)
(2)システムとして大きな変更はないが、文言や内容が変わったため、文書類の表現を変える必要があるもの
の二つの影響があります。以下に、項目毎に従来の環境マネジメントシステムで対応の必要があるかないかを主体に、それぞれの項目毎に説明します。
4.1 一般要求事項
環境マネジメントシステムの適用範囲を定め文書化することが求められ、「組織がどのようにして規格の要求事項を満たすかを決定すること」が求められています。
適用範囲については従来も殆どの組織が「1.適用範囲」の項で明確にしていますが、適用除外される組織があれば、その組織境界(バウンダリー)と必要性を明確にする必要があります。この手引きについては、付属書A.1を参照してください。
4.2 環境方針
「全従業員に周知される」が「組織で働く人又は組織のために働くすべての人に周知される」に変わり、従業員以外の組織で働く人が対象であることが明確になりました。同様の変化は4.4.2でも織り込まれています。ただし、ほとんどの組織においては、運用としては従来もこれらの人も対象としていると思われるので、そのような組織に取っては表現だけの問題です。
4.3 計画
4.3.1 環境側面
「組織が管理できる環境側面」だけではなく「組織が影響を及ぼすことができる」という観点から、製品や組織が提供するサービスの環境側面の評価に加えて製品の輸送、産業廃棄物の運搬、処理、保管、及び設備のメンテナンス等、外部に委託している活動の環境側面について評価を行っていなかった組織は改めて評価を行わなければなりません。ただし、製品や4.4.6c)で組織が用いる物品及びサービス(組織が影響を及ぼすことができる活動)について、従来からきちんと評価している場合は、特に新たな対応の必要はありません。
なお、旧版の4.3.4の後半で書かれていた環境マネジメントプログラムの改訂に関する部分が「計画されたもしくは新規の開発、又は新規のもしくは変更された活動、製品及びサービスも考慮に入れる」としてこの4.3.1に移った。変更があった場合はその環境側面を評価することをより明確にしました。
この項で特定された著しい環境側面については法的要求事項等も併せて、後の項で組織内の各部門・各階層で目的、目標や実施計画を設けて取り組み、運用・管理し、システム全体の運用と維持が確実になるように考慮することが求められています。
4.3.2 法的及びその他の要求事項
従来は環境側面に適用する法的要求事項やその他の要求事項を「参照できる手順」を要求していたが、改訂版ではこれに加えて、「これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する手順の確立」が要求されるようになりました。
法規制等は設備、作業、物質、体制等について規制しているので、4.3.1で洗い出した環境側面にどの法律やその他の要求事項が適用されているかを明確にする手順が求められています。ただ、環境側面の評価の時点で、それぞれの活動や設備の環境側面に適用される法規制等を明確にしている組織もあり、そのような組織では特に新たに対応する必要はありません。
4.3.3 目的、目標及び実施計画
従来の4.3.3と4.3.4の前半部分が一緒になっただけで、特に変わりはありません。
4.4 実施及び運用
4.4.1 資源、役割、責任及び権限
項目名が「体制及び責任」から「資源、役割、責任及び権限」に変わりました。
そして、経営層は「資源を用意しなければならない」という要求から、「資源を確実に利用できるようにすること」という要求に書き換えられ、自分で用意しなくてもいいが、用意されているようにさせていなくてはならないことになりました。
また、ISO9001に合わせて資源に「組織のインフラストラクチャー」が追加されました。
更に、環境管理責任者の役割としてトップマネジメントへの報告に「改善のための提案」を追加しました。
これらについては、マニュアルの記述に追加することが必要です。
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
項目の表現が、変わりました。すなわち、「訓練」が「教育訓練」に、「能力」が「力量」に変わりました。ただし、原文は変わっていないので、規格として変化があったわけではありません。「構成員」が「組織のために働く人々」となり、範囲が広がっていますが、4.1で明確にした適用範囲外の人に対してまで自覚教育を要求することは4.1の趣旨ではありません。
従来から多くの組織としては実施していましたが、教育訓練の記録を保持することが要求として明確になったことには留意しておいてください。
4.4.3コミュニケーション
「著しい環境側面について外部コミュニケーションのためのプロセスを検討し」という、組織から外部に対する情報の提供に関する規定部分の記述の具体性が増し、わかりやすくなりました。ただし、ここの部分も殆どの組織で対応ができており、特に新たな対応の必要はないと思われます。
4.4.4 文書類
要求される文書として、4.1一般要求事項で求められている「環境マネジメントシステムの適用範囲」の記述、環境方針、目的・目標及び記録を含むことが記述されました。
4.4.5 文書管理
「文書が定期的にレビューされ」の定期的がなくなり、必ずしも定期的なレビューはしなくてもよくなりました。文書の性格に合わせてレビューして下さい。
「組織が必要と決定した外部からの文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする」が追加され、外部文書の管理が明確に要求されました。
従来、明確でなかった組織は対応が必要です。
4.4.6 運用管理
c) 項で、「特定可能な著しい環境側面」が「特定された著しい環境側面」に変わっただけで、特に大きな変化はありません。
なお、組織が用いる物品及びサービスの環境側面を評価し、著しい場合は、サイト内(適用範囲内)であれば、4.4.2が適用され、組織が影響を及ぼすことができる対象(産業廃棄物処理業者、製品の輸送業者等)であれば、相手に要求事項の伝達を行うことになります。(4.3.1参照)
従来これらについて実施している組織は特に対応の必要はありません。
4.4.7 緊急事態への準備及び対応
表現は変わったが本質は変わっていません。当然のことながら、緊急事態が起こらないように発生を防止するために考えておくことと、起こってから対応する緊急事態との両方の側面で考えておく必要があります。
なお、準備及び対応の手順は「必要に応じて」レビューすればよかったのが「定期的に」レビューしなければなりました。
4.5 点検
4.5.1 監視及び測定
旧版の第三センテンスが4.5.2として独立した以外は、旧版と変わりません。
4.5.2 順守評価
旧版では4.5.1の最後にあった文が4.5.2として独立し、法的な要求事項の順守性に関する4.5.2.1に加えて、その他の要求事項の順守性に関する4.5.2.2を規定しました。
組織の社会的責任を明確にしようとするものです。単に、大気、水質、騒音等、数値のあるもの、いわゆる環境法のみを対象にしていた組織は対応が必要です。数値、資格、設備、体制、届出等、漏れのないように気をつけてください。
また、その他の要求事項の順守についても評価が要求されていることに注意が必要です。 当然、定期的に評価した結果としての記録が残されなければならず、このことも明確になりました。
4.5.3 不適合並びに是正処置及び予防処置
不適合の是正処置及び予防処置の内容、手順が明確になりましたが、殆どの組織では特に対応の必要はないと思われます。
ただ、予防処置の必要性の評価が明確になっていない組織は注意が必要です。是正処置の水平展開しか考えていないところもあり、様々な情報やデータ分析等から潜在的な不適合に対しての予防処置を考える必要があります。
また、ISO9001に合わせて、とられた是正処置、予防処置の有効性をレビューすることが追加されたので、この部分を含めていない組織は対応が必要です。
4.5.4 記録の管理
単に「環境記録」という表現が「EMS及び要求事項への適合の記録」と「達成した結果を実証するのに必要な記録」と具体的な説明が加わりましたが、基本的には従来と変わりません。
4.5.5 内部監査
ISO9001との整合性をとり、「環境マネジメントシステム監査」を「内部監査」とし、「監査員の選定及び監査の実施においては、監査プロセスの客観性及び公平性を確保すること」が追加されました。しかし、これは従来も対応されていることであり、特に変更の必要はないでしょう。
4.6 マネジメントレビュー
これもISO9001に合わせて「経営層による見直し」が「マネジメントレビュー」という表現になり、インプット情報としてa) ~h) までの項目が明記されたので抜けがないように注意する必要があります。

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